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事例1:農地中間管理事業を活用して形成された山梨県最大級の醸造用ぶどう農場

[ 2018年4月23日 ]

地区名

北杜市天王原地区

地域の特徴、現状

北杜市は、八ヶ岳・南アルプスなどの日本の百名山に囲まれ、清らかで豊富な水資源に恵まれた地域です。農地は標高400m~1,000mに広がり、冷涼な気候や長い日照時間を活かし、水稲、野菜、畜産、果樹、花きなど特色ある農業が営まれています。

明野町天王原地区は、かつては地形に沿った桑園が広がっていましたが、畑地としての基盤整備は実施されず、狭小・急傾斜の農地が大半を占めており、養蚕の衰退と農業従事者の高齢化とともに、殆どの桑園が耕作放棄地化していました。

経緯

耕作放棄地化した天王原地区の農地の有効利用を図るため、農地中間管理機構の業務委託を受けている北杜市農業振興公社が中心となり、次の取り組みを実施しました。  

○農地集積を図るための人・地域・農地の状況確認

 ・耕作放棄地や未利用農地のリストアップ

 ・農地所有者への営農や農地維持の意向確認

 ・農家の意向等を筆ごとに色分けしたマップの作成

 このマップを基に、天王原地区を地域の担い手エリアと企業等の参入エリアに分けて活用することとなりました。

農地中間管理機構事業の流れ

 

取組内容

 企業の参入エリアでは、ワインの原料の増産を目的に、醸造用ぶどうの栽培で参入意向のあった企業による農地の活用を進めることとして、地域の農業者や地権者等と合意形成を図り、農地整備などの事業を計画的に実施しました。

 その結果、平成27年度までに、約11haの醸造用ぶどうを栽培するほ場が完成し、このうち、6haで栽培を開始しました。

 当企業は、既に静岡県にワイナリーを持ち、醸造用のぶどう栽培を行っていましたが、原料の増産に向け栽培面積の拡大を検討する中で、品質の良いぶどうを生産するため、温暖化の影響も考慮し、標高の高い北杜市への参入を決定しました。

 当企業では、参入にあたり、北杜市農業振興公社で農地中間管理事業の説明を受け、県の担当者とも事業の内容を相談する中で、農地中間管理機構を介して農地の借り受けることとしました。

醸造用ぶどうの生産にあたっては、有機肥料の活用や、地温を確保し生育を促進させるマルチによる苗木定植により、2年目からの収穫を行う栽培法を取り入れるなど、収量向上に取り組むほか、栽培に携わる人材の育成にも積極的に取り組んでいます。

 現在、ほ場は約20haに拡大し、県内でも大規模な醸造用ぶどうのほ場となっています。また、参入企業では将来、ほ場で栽培した醸造用ぶどうを使い、この天王原地区でワイン製造もできるよう、ワイナリーの建設なども予定しています。

成果

耕作放棄地で全く活用されていなかった農地が20haという県内最大規模の醸造用ぶどう生産ほ場として再生したこと

以前は桑の栽培も盛んであったが、養蚕の衰退等により農地の遊休化が進んだ。(企業参入以前)

ほ場整備時の様子

整備された醸造用ブドウのほ場

 

工夫した点

企業参入においては、地権者が先祖代々の土地を見知らぬ参入企業に貸すことに対する不安や抵抗感があるため、農地中間管理機構(山梨県農業振興公社と言う公的機関が間に入ることにより、企業、地権者双方とも安心して農地を貸借することができるようになり、農地の集積がスムーズに進みました。

また、参入企業の担当者からは、地権者との交渉や書類の作成の支援も受けられ、更に、地代についても1ヶ所への支払いで済むなど、多くのメリットがあったと感謝されています。

 
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